南極観測船しらせ

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I. SHIRASEとは?

SHIRASEは1983年から2008年にかけて日本と南極の間を25往復した南極観測船(自衛隊名は砕氷艦)です。
退役後はスクラップになることが決定しておりましたが、気象情報会社ウェザーニューズの創業者である「石橋博良」が宗谷・ふじと続いた日本の南極観測船がそれぞれ保存運営されているのにも関わらずしらせをスクラップにすることに関して異を唱え、しらせの後利用委員会に対して再審議を提案しました。この結果、株式会社ウェザーニューズが「環境のシンボルとして」活用することを提案し、2010年5月2日より船橋港に係留し、その存在を広く知っていただくため、名称を平がな表記の「しらせ」からローマ字表記の「SHIRASE」に変更し、活用してきました。2013年からはより公益的な取組みを行うことを目的として、同氏が設立した財団「一般財団法人WNI気象文化創造センター」に所有権を移行し、ビール工場との連携による見学会や体験型のイベントなどを行っております。

 

沿革

  • 起工:1981年3月5日
  • 退役:2008年7月30日
  • 進水:1981年12月11日
  • 退役後の公開開始日:2010年5月2日
  • 就役:1982年11月12日
  • 所有権の移行:2013年9月2日

艦名(船名)の由来

海上自衛隊の砕氷艦の命名には名所旧跡を採用されることになっているため、通常であれば日本で初めて南極に挑んだ白瀬矗の名を採用することは出来なかった。しかし、日本の南極観測隊は南極昭和基地の南方に位置する無名の氷河に対して白瀬矗の功績を称えて「白瀬氷河」と命名しました。しらせの艦名(船名)は白瀬氷河に由来するもので、白瀬矗の名前とは間接的につながっているのです。

 

II. 現役時代の様子

成績優秀な船

しらせは日本の歴代の南極観測船なかでも南極渡航回数が最も多い船です。また、南極昭和基地への接岸回数は宗谷(6回中0回)、ふじ(18回中6回)、しらせ5002(25回中24回)、しらせ5003(10回中8回)で、歴代の南極観測船の中で最多を誇ります。氷海航海時には、氷の中で身動きが取れなくなっていたオーストラリアの砕氷船を2回救出するなどの活動も行っております。これも3万馬力のエンジンと3軸のスクリューによって厚さ1.5mの氷を時速3ノットで連続航行していくことが可能な性能を持っていたことによります。これにより、昭和基地の設備周りや住環境が飛躍的に進化し、研究成果も増えてまいりました。

 

海上自衛隊の最大動揺記録を持ち続ける

しらせの船底の形状はすり鉢状になっています。これは氷海上を航海しやすくするため、揺れを抑えるための装置が付属していないからです。この反面、荒れた海を航海する時は大きな揺れに悩まされました。南極海を航海中の2001年12月12日23時57分には左右に大きく傾き、左に53度、右に41度といった動揺を記録しています。この記録は今でも海上自衛隊の最大動揺記録として残っています。

退役後はスクラップの危機に

2008年4月12日に25回の南極航海を終えて東京晴海埠頭へ帰国。その後7月30日に退役し、二代目しらせにその座を譲ることとなりました。文部科学省では、しらせ後利用委員会を設立し、しらせの退役後の利活用についての公募した結果、多くの団体が名乗りを上げたものの、その大きな船体が故に維持費用等が掛かることから2008年10月24日にスクラップにすることが決定されました。これを受けて船内に有った所蔵品等は取り外され、メモリアル品として、南極観測やしらせに縁のある場所で展示・保存されることになりました。

 

III. 第二の船出

しらせからSHIRASEへ

民間気象会社ウェザーニューズの創業者である石橋博良は、しらせのスクラップに関して、歴代の南極観測船は活用されてきたものの、”しらせ”をスクラップにすると南極観測の文化継承が途切れることを心配しました。また、しらせを「環境のシンボル」として活用していくことを文部科学省へ提案しました。その後、しらせ後利用委員会が再結成され、再公募が行われ、5団体が応募しました。後利用委員会による現地視察や応募内容のプレゼンテーションを経た後に審議した結果、ウェザーニューズ社による利用計画が最も実現可能性が高いことが認められ、2009年11月9日に南極地域観測統合推進本部総会にて後利用先をウェザーニューズ社にすることが決定されました。

退役後、海上自衛隊横須賀港に係留されていた”しらせ”は2010年2月10日に引渡式を行い、改修のため三菱重工株式会社横浜製作所本牧工場のドックへ曳航されました。この時、より世界に”しらせ”の名前を知ってもらいたいということや、二代目しらせとの違いを明確にすることを目的として、船名をしらせからSHIRASEに改称し、船体へ新たにSHIRASEの表記を記載することになりました。改修を終えたSHIRASEは3月31日に同ドックを出渠し、船橋港へ曳航されました。2010年5月2日(5002にちなんで5月2日)に船橋港にて一般公開が開始され、第二の船出を開始しました。

震災復興に向けて

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、SHIRASEを係留している京葉食品コンビナート南岸壁では液状化現象が発生しました。船体や係留設備への影響はほとんどなかったものの、岸壁で大きな水たまりが出来たことなどから、従来行ってきた乗船を当面の間中止することとしました。しかしながらSHIRASEの震災復興の在り方について考えた結果、ウェザーニューズ社の創業のきっかけともなった福島県小名浜港へ曳航し、環境観測や気象リテラシーの向上、地域の皆様への元気づけを目的とした一般公開を実施しました。その結果、1万2千人余の乗船者が有り、地域の皆様の活気付けを支援することが出来ました。

WNI気象文化創造センターへの所有権移転

このような大きな船を1つの企業が利活用していくには限界が有ることや、より多くの共感者を巻込みながら活用し、より公益性の高い取組を行っていくことが必要であるとの考えより、SHIRASEの所有権移転も視野に入れた計画を立案しました。これを基に関係各局へ相談した結果、2013年9月2日よりSHIRASEの所有権を株式会社ウェザーニューズから一般財団法人WNI気象文化創造センターへ移転することとなりました。この財団はウェザーニューズ社の創業者である石橋博良が気象リテラシーの向上を目的として設立されたものです。

SHIRASEが動く

SHIRASEは通常、船橋港の埠頭に係留されております。ドック入りや別の港に行くようになった場合は係留ロープを解いてからタグボートに曳航されながら移動します。このようにして時折動くようなことがあります。

 

SHIRASEとしらせを並べる

2011年9月30日~10月2日には二代目しらせがSHIRASEの前方に着桟することになり、船橋周辺の皆さまを中心として1万人の方が両船の取組みに理解を示してもらうことが出来ました。この取組みは多くのメディアが取り上げてくれたことも有り、SHIRASEの存在価値を高めることが出来ました。同様な取組みは2017年8月19~20日かけても開催され、6年ぶりの再会が実現しました。機会があれば今後も地域の皆様の協力を得ながら実現できるようにしてまいりたいと思います。

[出典:shirase.info]

 

現在の様子(2021年6月2日撮影)

 

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